初心者コラム#12「初めての舞台」
ボンボヤージュのこーすけです。
今回が初舞台の劇団員・藤沢こーすけによる、初心者からみた演劇づくりの気づきを連載する「初心者コラム」第12回のテーマは、「初めての舞台」です。
今回、2019年の2月9〜11日にかけて、私は初めて舞台の上で演技をしました。総勢260名くらいでしょうか、本当にたくさんの方に観ていただきました。お客さまあってのお芝居です。本当に嬉しく思います。この場をお借りしてお礼を言いたいと思います。ありがとうございました。
初舞台の感想
さて、初舞台の感想ですが
私は普段から特に緊張するようなタイプでもないので、今回もそんなにアガらないのかな?と思っていたわけなのですが
正直、めちゃくちゃ緊張しました。
開始前に、舞台裏、袖のところに待機している時。
え?お客さんいるんだけど。全然、稽古と違うじゃん。
まず、ここでかなり焦りました。ゲネプロまでは、たとえ観てる人がいたとしても二、三人であったり、そんな緊張するほどでもなかったのですが
40人以上の観客が観ている前で演技するというのは、想像をはるかに超えた緊張がありました。
そう、何もかもが稽古とは違いました。
お客さんの反応
まず、お客さんがいて、演技一つ一つに対して反応があります。同じ座組のメンバーには、お客さんの反応をみながら演技プランの修正を行う役者の方もいました。
そして、何より驚いたのはこちらがウケると思っていたものは全然ウケなかったり、逆に「なんでこれが?」というのがウケたりしたことです。また、回によって当然お客さんは全く異なるので、回によってウケるところや盛り上がりどころも変わりました。
これまでの私のイメージは、「脚本が作った物語を役者が忠実に再現する。演出家はそのより効果的な見せ方を考える」みたいなイメージだったのですが、稽古や本番を経て考えは変わりました。
舞台は、役者さん、音響照明などのスタッフ、会場の方、さらにはお客さん、全ての人が関わってつくられるものだと思いました。音が違えば、光が違えば、役者の動きや見え方も変わり、物語の伝わり方も変わります。また、お客さんの反応によって役者が活き活きとしたり、より感情が引き出されることもあるでしょう。そういった意味で、非常に演劇は"ナマモノ"だなと思いました。きっと一つとして同じ舞台はないのでしょう。一期一会です。
だからこそ余計に、緊張します。どんなに失敗をしたって、取り返しなんてつきません。お客さんに「もう一回観てくれ」なんて言えるわけもないですから。その回に観に来た人にとっては、その回こそがその劇の全てなのです。その意味での緊張感はとても強く感じました。
しかし、反面面白さもありました。お客さんの反応から、「こうしたらどうか?」などのアイデアが生まれたりもして、短い本番期間ながら色々なことを試しました。手ごたえやアンケートなどで良い反応を得られた時は、とても嬉しく思いました。
役者の面白さ
これは稽古の時にある方から教わったことなのですが、役作りの中で「その役のプロフィール、年表を作ってみるのが良い」と言われたことがあります。稽古の時は「役作りとして必要なんだなぁ」と思ってやっていたことでしたが、この重要さを本番を経て強く思い知ることになりました。
「本編のキャラクターのその後について、アンケートで人気が出たものはWebで公開しよう」
主宰のじゃるさんが言っていたことです。この劇後のスピンオフ企画は、アンケートでもなかなか好評でした。それをみて思ったのが、お客さんの中では、そのキャラクターは劇が終わってからも生き続けるということです。共感できるキャラクターであったり、その後が気になるキャラクターであったり。劇中だけで完結するものではなくて、劇が始まる前も生きていたし、終わった後も生きているキャラクターなのです。
そういう意味で役者は、その役を演じる中で、そのキャラクターとしてのストーリーを伝えなくてはなりません。
こういう言動をするのは、過去にどんなことがあったから?これからこの人はどうしようと思うだろうか?それはどうして?何を感じ、どう思ったから?
キャラクターとしての軸、一貫性を持ちつつ、キャラクターそのものをお客さんに伝えることは、いわば創作そのものでした。
私はこれまで役者は脚本家や演出家の世界をお客さんに伝える役目だと思っていたのですが、それだけではないのだと思いました。
役者自身が、その役としての物語を創作するのです。
これは私にとって、とても大きな気づきでした。これまでは脚本をやってみたいと思っていましたが、今では正直それよりも、役者の面白さが上回っている気がしています。
役者としての自分の強み
自分がアンケートなどで褒められたのは、「自然な演技に見えた」というものです。
正直、私はまだ全然初心者で、周りのベテラン役者さんと比べたら勝負にもならないという状態です。だからこそ、少しでも自分の強みを見つけられたのはとても良かったです。自然な感情に乗せて、演技をお客さんに届けるということはこれからも意識して頑張っていきたいです。
逆に伸びしろということでは、やはり滑舌や声量などは課題も感じました。
また、歌についても今回は歌う機会がありましたが、こちらもまだまだ上達の余地があります。地道に楽しく練習していければと思います。
おわりに
さて、今回で私の初公演であった「世界で一番可哀想な境遇の人々」に沿った初心者コラムは終了となります。
次回は、私藤沢こーすけがまた公演に出ることになった際に、またこの初心者コラムの更新をするかもしれません。
それでは皆さま、長らくお付き合いいただきありがとうございました。
また、お会いしましょう。
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